無駄だと思えることも実は…
- 内藤 紘一
- 3月26日
- 読了時間: 2分
更新日:3月26日
身体活動量を適正化することは、私たちの研究における主要な目標の一つです。
「健康にいいから、1日20分以上歩きましょう。」
そう指導しても、実際に行動に移してくれる人はごくわずかです。
これは、経済学の「最適化理論」(限られた資源の中で効用や利益を最大化し、コストを最小化するという意思決定の考え方)が、現実の人間の行動にはあまり当てはまらないことを示しています。
私たちが行動変容を促すことを目指すのであれば、行動科学(行動分析学や行動経済学など)を学ぶ必要があると考えています。
ただ、これらは心理学を基盤にしているため、理学療法士にとっては少しハードルが高く感じられるかもしれません(教育課程に心理学は含まれているとはいえ、その重要性に気づく学生は少ないのが現状でしょう)。
以前勤務していた職場では、なぜか言語聴覚士養成コースの「心理測定法」という講義を私が担当することになりました。
「なんで理学療法士の自分が心理測定法を教えなあかんねん」と内心ぼやきながらも、講義準備のために必死で勉強したのを思い出します。市川伸一先生の”心理測定法への招待: 測定からみた心理学入門”をひらすら繰り返し読んだなぁ。
その甲斐あって、他大学の言語聴覚士養成課程で国家試験対策の「心理測定法」の講義を非常勤で担当することがあったくらいに(理学療法士の私が!)、知識が身につきました。
今、研究に必要なこともあり、行動分析学や行動経済学の書籍を読み進めていますが、その中で心理測定法の知識がとても役に立っています。
たとえば、意思決定の理解に欠かせない「ウェーバー・フェヒナーの法則」など、当時に学んだことが今になって活きているのを実感しています。
「無駄なことって、あまりないんだなぁ」と、あらためて感じる今日この頃です。